2017年7月16日日曜日

「花森安治の仕事」展

「花森安治の仕事
 ~デザインする手、編集長の眼~」展

高岡市美術館 にて7月30日まで開催中




行けてよかった
とても楽しめました

花森安治氏の隠れファン(?)らしき相方と
物心ついた時から暮らしの中に『暮しの手帖』があった私
それぞれ思うところを深め、満喫してきました




実家に『暮しの手帳』を定期購読という形で導入したのは父で
主に読んでいたのも父
内容を参考にしたり、実践したていたのも父でした

昨今、花森安治氏の表紙絵や挿絵のデザイン、写真や編集術は、
ノスタルジックな雑貨・クラフト的なものとして
愛される側面もあるように思うのですが

展示からは、彼の仕事の社会運動的な側面、
側面というよりそれこそが創刊の想いであり
雑誌の真髄であることが力強く伝わってきました




「暮しの手帖別冊」↑からの引用の織り交ぜになりますが、

「もう二度と戦争を起こさないために、
       『暮らし』を大切にする世の中にしたい」

という思いで創刊した『暮しの手帖』

料理、服飾、台所、商品テスト…
いろんな切り口で衣食住にまつわる記事を企画してきたのも

「ぼくらに、守るに足る幸せな暮らしがあれば、
             戦争は二度と起こらないはずだ」

ペンを武器に
ペンの力で「あたりまえの暮らし」を守る

そういった決意あってのこと



「一銭五厘の旗」を広げる花森安治(1971)


「一銭五厘」というのは戦時中の郵便葉書の料金だそうで

花森氏が徴兵されて向かった戦地で上官から
「貴様の代わりは一銭五厘でくる、軍馬はそうはいかんぞ」と
怒鳴られたように

庶民は一銭五厘で問答無用に戦地に集められ
いくらでも代えがきくのだと言われた戦争体験を経て

戦後の復興と高度経済成長の中で
暮らしをないがしろにするような経済優先の事象に対して
それを今度は黙っていてはいけないと

「今度こそ ぼくらは言う
  困ることを 困るとはっきり言う」

「ぼくらは ほくらの旗を立てる」

「ぼくら庶民の旗だ」

「ぼくら こんどは後へひかない」



そいった信念のもとに、世の中を見て、取材し
時に、家庭のみならず社会でも活躍し始めた女性たちへのエールを込めて
文章を書き続けた花森氏と『暮しの手帖』誌への
理解を深めることができました




と同時に、父が共感し、支持を表明するという意味で
『暮しの手帖』を定期購読していた
その「支持」する先の、本当に一番大きかったもののこと・・・

それは消費者の立場に立った商品テストや
スポンサーからの制約を受けないために広告を載せない姿勢や
世の時流を問い、ペンで物申す姿勢や
(父はそれらをよく褒めていたのだけれど
ましてやレシピやDIYの記事ではなかったことを
(参考にして作った棚とか料理もあったのだけど

そうではなく、最大に支持していたのは
もう二度と戦争をしないために行動する
という花森氏の姿勢であったのだということに

ようやく思い至ったという・・・

不肖の娘