2020年6月19日金曜日

⑥『福田利之作品集2』

【ブックカバーチャレンジ6日目】

6/21 追記と画像差替え





『 福田利之作品集2 』
(玄光社・2020年5月1日初版発行)

イラストレーター・福田利之さんのHPはこちら⇒


素晴らしい装丁も含め、
好き、が詰まった一冊です


いろいろなことがある日々の中、
少し気持ちが絡まって、どうしたものかと思うとき

手に取れば瞬時に頬ゆるみ、
気まぐれにページをめくれば、こころのざわめきは遠のいて

しばし、ことばの無い世界に浸ります


そのうち今度は福田さんの世界のせつなさと、やさしさにちょっと泣きそうになって


それから、いろんなことが腑に落ちたような気持ちで
自分の世界に帰ってくるのです




5月の二人展の搬入時、季村江里香さんと猪爪彦一さんと、
ひとしきり「本」についての話題になりました

江里香さんは、自身の体調のことや新型コロナのことで現実があまりに大変なので、
このところはこれまで好きだった本が読めなくなっているのだけれど、
好きな工芸家の本だけは読めたのです、と仰いました

この状況下で、敬愛する作家の世界が自分にとって大きな意味を持ったように、
アートに何ができるか、何もできないのではないか、と思いかけた時もあったけれど、
今はそうではないと思っていると、話してくださったのは、とても心に残ることでした


自分にとって大切なものを
自分の世界ではない場所で思い出す
ということが
ありますね




特典のひとつ、特製ステッカーは、、、アマビエならぬ
アマエビ?

そういうところが好き


傍らの文字はドイツ語で「ふつうの生活」と描かれているとか

そういうところも好き





この作品集は「ほぼ日」こと「ほぼ日刊イトイ新聞」のオンラインストアで、4月の末に予約注文をして待つことほぼひと月でした

今回は特製ステッカーに加えて、直筆サインとイラストが描き添えられるという、この上なくスペシャルなオンライン販売↓
https://www.1101.com/fukudasakuhinsyu2/index.html


↑では福田さんの制作の様子の動画(手紙社さん撮影・編集)も見ることができます
そこで仕上げられた作品も作品集に収録されていますが、印刷されたものからはわからない原画の質感や工程を知ることができてとてもうれしい動画でした

ネットの情報も、手元の本も、どれもが福田さんにつながっているのだけれど、やっぱりいつの日か、福田さんの原画が観たいし、ご本人にも逢えたら、うれしいなぁ。。。




直筆サインとイラストは、なんと1500冊(!)に、全て異なるデザイン(!)で入れてくださったとのこと
サイン&イラスト入れの様子は中継されたのですが、ステイホームのGW、私も画面釘づけで視聴していました

↑でその動画も観れますが、そんなに描いてくださるの!? 全部違う絵ですよ?!と驚嘆しながら、さすがに後半はボリュームが減るのかな?などと思いつつ、どんなサインが届いてもうれしい、と思って楽しみに待ちました


「届いたサインをアップしてください」という福田さんのリクエストで、ツイッターでは #福田のサインで、たくさんの画像が寄せられています
全部は見てないですが、よくまあこんなに違うイラストで描いて下さいました!


私はツイッターをやってないので、、、ここでご披露いたしましょうか

この「ブックカバーチャレンジ」が無ければ、ひそかな宝物として、お披露目しなかったと思いますが、福田画伯の貴重な作品ですものね


どうぶつなら、猫かな、鹿かな、熊かな・・・
どうぶつ以外もあり得るのね・・・と思いを巡らせていましたところ、なんと





トリが 来ました ☆☆☆


一筆描きのようなフレームのあるデザインです

こんなふうにいろんないきものたちが溶け合うような
福田さんの世界が大好きです

太陽とたなびく雲と降り注ぐ雨が、樹々たちを通して
巡っていることを感じます


この世界はつながっているけれど閉塞していない

トリは世界を自由に行き交うもののように見えます


オンリーワンの、スペシャルサイン


福田利之さん、ほぼ日のみなさま
どうもありがとうございました



そして、こちらも ( *´艸`) 
福田さんデザインの日付印





福田さんを福田さんと知らなかった頃に出会ったポストカード
ひとめぼれして、お友達に出す分と手元に残す分と買いました




こちらは比較的、近年出会ったもの
孤独なのもいいけれど「密!」なのもすき


もしも雑貨なども置くお店だったなら、
福田さんのカードのお取り扱い店にもなってみたかったけれど


今はどの作家さんにおいても
原画やその源に
近づいていきたいです



2020年6月7日日曜日

⑤『ぼくらの 民主主義なんだぜ』

【ブックカバーチャレンジ5日目】





『ぼくらの 民主主義なんだぜ』

高橋源一郎 著(朝日新書・2015年5月30日第一刷発行)


2012年末~2017年初頭、暮らしの場が変わって家事専業で過ごさせてもらった数年間は、
学生時代以上に読むこと・知ることが楽しくて、学ぶことに貪欲になっていた時期でした


2011年に東日本大震災と福島第一原発事故があって、
2012年末に民主党政権から第二次安倍内閣・自公連立政権になって、
2013年夏の参院選でも与党が圧勝、
その際にメディアがこぞって「ねじれ解消」を謳ったあたりから、
私にはますます政治がわからなくなって、


世界は不穏で、混濁しているように感じられ、

理解するための手がかりを求めて、ファンタジーではなく、
取材や研究に基づくフィクションを読まずにはいられなかった時期でした

(それは今も続いています





本書は、そんな2011年4月から2015年3月まで、
朝日新聞の月1回の連載「論壇時評」に加筆されたもの


私には難しく感じられる部分もありますが、
著者は「伝えたい」という熱い意思をもって、最大限の易しい言葉で語りかけてくれます


政治は暮らしに直結していること、政治は特別なことではなく、
暮らしを考えたら政治を考えないわけにはいかないことを再認識します


時事的なことは全て過ぎ去り、リアルタイムで下さなくてはならなかった判断は
すぐに検証の対象となり、正しかったこと、間違っていたこと、あると思うのですが


この時代になにがあったかを記録しておくこと、
作家の場合は自分の言葉で自分の解釈を世に公表しておくことが、
のちの世において重要であるという立ち位置は


公文書を改ざんしたり、破棄したり、
責任の所在を明らかにし、検証する上でも不可欠な議事録すらも作らない、
現政権のそれとは真逆のものだということは、わかります



今の世を理解するためだけでなく、
過去を検証するためだけでもなく、
未来を照らす灯のひとつとして持っている一冊


対話がある場所には希望があると、
感じられる著書です





今、小説やファンタジーはほとんど読みません
残念ながらその心境にならないのです

我ながら、ゆとりがない、と感じます


この度の「ブックカバーチャレンジ」で、
過去に親しんだ児童書や小説などを読み返すことが、とてもいい時間になっています



2020年6月1日月曜日

④『カンガルー日和』

【ブックカバーチャレンジ4日目】




『カンガルー日和』

村上春樹 著 / 佐々木マキ 絵
(平凡社・1983年9月9日初版)

読み物としての内容も、形あるモノとしても、好きな要素が揃った1冊


1. に入っていること(必須ではないけれど特別感)




2.グラシン紙 のような半透明の紙が掛けられていること
(これも必須というわけではないですが、ただグラシン紙が好き
(物語は深い霧の向こうにあるような…




3.好きなカラーリング 、グラシン紙的な紙の下の表紙のこの黄色 
(青も好きですが、パトロールカーみたいなこの黄色も好きな色



4.四角い 
(厳密には縦長の長方形ですが、四角いのは意味もなく好き



このように中身にたどり着く前に既にトキメキまくる本なのですが、
ページをめくれば・・・ 箱の表紙と同じく佐々木マキさんの絵‼




かくしてリアルとファンタジーの境目の溶け行くことが
示されるのです




5.作家と挿し絵画家、両方が好き
(時に絵から物語に入っているように思われるフシもあります



村上春樹さんのあとがきには
「長篇の表紙をずっと描いていただいていたのだが、本文の方で一緒に仕事をしたい
という念願がかなって、とても嬉しい」と書かれています



綴られた短編の中で何度も読み返すのは「図書館奇譚」
村上春樹ワールドでは「羊男」の出て来るお話が好きです

もちろん『羊男のクリスマス』(村上春樹×佐々木マキ・講談社文庫・1989)も持っています

シナモンドーナツを食べるときに羊男を思い出すのは、羊男ファンあるある


村上春樹さんのお話は、出て来る食べ物が本当に美味しそうです
閉じ込められた絶望の図書館の地下室においてさえ


新型コロナによって図書館が休館になっていた間に、
人知れず、脳味噌をちゅうちゅうされたひとはいなかったでしょうか。。。





佐々木マキさんの絵本『やっぱりおおかみ』
(福音館書店・1973初版)も、好きな1冊


「3密」とは無縁のおおかみ



*****


長らく読んでいない村上春樹さんの著書
話題になればなるほど遠ざかっていましたが、
新刊『 猫を棄てる  /  父親について語るとき 』は折をみて読みたいです



2020年5月29日金曜日

③『旅の絵本』

【ブックカバーチャレンジ3日目】




『旅の絵本』

安野光雅 (福音館書店・1977年4月15日発行)

現在、改訂版を含め全10巻出ているようですが、我が家には初版の第4巻まで

絵の中に織り込まれた遊び絵の数々は、幼少期に出会うような童話を知っていれば、ミレーの「落穂拾い」も「晩鐘」も知らなくとも、見つけてはしゃぐことにこと欠かず、鳥の目で旅人を追いながら、異国の街並み、市場や農村や運河や、どうぶつたちと共にある暮らしの営みを旅することに夢中になっていました

学生時代にバイクでひとり旅に出るようになる芽は、
こういったところからも育まれたのだと思います




大学進学で実家を離れる時、父が書斎に飾っていた安野さんの絵による
AMNESTY(国際人権NGO アムネスティ・インターナショナル)のポスターを
欲しいと言ったところ躊躇なく譲ってくれて、

以来長らく「額装する」ということなど知らずに、父がそうしていたように四隅を画びょうで留めて飾っていたのでしたが、

10年以上も経ったのち、上越・高田暮らしになってからようやく、ちゃんと飾りたいと思い
街の画材屋さんで額装してもらいました





画びょうの穴や周囲の傷みが見えないようにしつつ、
ポスターの主旨がちゃんとわかるように、かっこよくマットを切ってくださったこと、

こういうものの扱い方など全く知らないなりに感心して、うれしかったこと、
覚えています





気付けばこのポスターと共に約30年!?
紙は褪せても安野さんの絵が好きな気持ちは変わることなく

10回ほどの転居を共にしたポスターは、
今は maison のリビングに



2020年5月26日火曜日

②『火をありがとう』

【7日間ブックカバーチャレンジ 2日目】




『火をありがとう』

杉 みき子  文 / 村山 陽  画
童心社(昭和48年11月20日初版)


小学校低学年のころは、父の同僚でもあった高校美術教師の村山陽先生と、
母のふるさと上越・高田の児童文学作家・杉みき子さんのお二人による児童図書が愛読書でした
お二人によって描かれる雪国・高田の風景や妙高山を舞台にした物語が、
私の郷愁の源、原風景になっています

村山陽先生には、昨年4月、当ギャラリー1周年記念の展覧会「flow展」に
念願叶ってご出展いただけたのは、本当にうれしいことでした




久しぶりに読み返して


迷い込むこと

こころをじゆうに旅すること

よくわからないものがあることのしあわせ を

思い出しました


***


児童文学の中で『火をありがとう』と並んで読むたびに鼻の奥が熱くなってしまうのが
『花さき山』(齋藤隆介 作・滝平二郎 絵/岩崎書店・1969)
(手元に置いてないので画像無し


おさない主人公たちを
今も昔もリスペクト




裏表紙

(村山陽 画)



2020年5月21日木曜日

7日間ブックカバーチャレンジ①『びんのそら』





『 びんの そら 』

谷内六郎 / 詩と絵 (至光社・ブッククラブ・国際版絵本)


裏表紙に父の字で「1974.9.23」に同僚の方から、
当時3歳の私がいただいたと記されています
幼少期に好きだった絵本の中で、手元に残してある数少ない一冊


「しゅっ しゅっ よぎしゃが せんを ぬき・・・」


長年しまい込んでいた間、全容は忘れながらも、このくだりだけは覚えていました
実家の保管箱から出てきた時のうれしさといったら


                          


おもちゃはほとんど買ってもらえなかった幼少期、誕生日は(私の希望で)ぬいぐるみ、クリスマスは中学生までずっと、父が選んだ本が贈り物でした(一応、寝静まった夜に枕元に置かれたのですが、白髭のサンタクロースがいないことは早々に知ることとなりました)おこづかいを図書券でくれることも多く、4年前に父が亡くなった時は家族でその意を汲み、香典返しには図書カードを添えました


今ではすっかり筆不精になった私ですが、ものごころがついた頃から手紙と切手が好きで、
手元には谷内六郎さんデザインの切手も、
いつかの出番を待って大切に





「7日間ブックカバーチャレンジ」とは、

「読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、好きな本を1日1冊選び、本についての説明はナシで表紙画像をFacebookへ7日間アップを続ける、その際毎日1人のFB友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いする、というもの」で、昨今の「ステイ・ホーム」ライフの中で始まったSNS内での試みのひとつ

この度「アートプロデュース 環」の横木裕子さんからバトンが回ってきました

企画自体は楽しいものと思いつつ、私自身はコンスタントに何かをするのが苦手なので、
基本的にこういうものは「回ってこないといいな…(。-_-) 」と思っております

とはいえ、思い浮かべていただけたことや、つながりはありがたく、また現在、展覧会会期中で時間的ゆとりはないものの、ちょうど展示作家のおふたりと「読書」について語らったこともあり、あれこれ思いを巡らす機会として、ありがたくお受けしました


バトンについてはマイルールで、
無理のない成り行きがありましたら託したいと思います

Facebookをしていない(もしくはつながっていない)友人・知人も多いので、
こちらに書いたものを Facebook にリンクしたいと思います



2020年5月8日金曜日

追悼

2020年4月27日
画家・井田英夫さんが闘病の末、旅立たれました

慕う方々が作成してくださった特設「井田英夫ウェブサイト」からも
井田さんの大きさ(体格もとってもおおきい方なのですが)
不在の大きさ、画家として世にもたらしてくれたものの大きさを
改めて感じています

                                


闘病にはお疲れ様と言いたい

出会えたことに感謝したい


それでも、

幾晩明けても思うのは


夢であったなら、、、、、、


ということで


捧げる言葉を探しあぐね、
また深い穴の前で立ち尽くしてしまいそうになるのですが

何度も書き直した、ことのはたち

今日は青空に放ちます




「五頭山」
(2012)


しっかり歩き、

元気に登り、

過ぎゆく季節を愛で、

井田さんのように魂宿る絵を描く作家たちの世界に心を浸し、


途中、途中で、不意に井田さんや、先に旅立ったひとたちを思い出して

目の奥がぎゅっとなりながら



手を、足を、頭を、
自分のために、自分の成すべきことのために、誰かのために
動かしたいと思います


でも、
ことのほか、がんばろう、などとは思わないことにします


どなたも、どなたも、
このようにして生きてきた中で、出会えたひとだから


井田さんと、井田さんの作品と、
こんな風にして、かけがえのないものとして、出会えるなんて


この道を選ばなかったら
きっと、なかったことばかり


そのときの一生懸命で
疲れたら休んで
ダメな自分も
遠回りの道もたのしんで


晴れたら遠くの山の頂を眺めます


井田さーーーーーん



「2月27日」
(2018)



絵はいいですね


前とは違うこころもちで
そんなふうに思えるようになったのは
井田さんと出会ったお陰でもあります


出会ってから僅か3年足らず

アートつながりのたくさんのお知り合いがいらっしゃる中に、突然舞い込んだような私にも
同じように、昔から知っているようなちかしさを感じさせてくれた井田さん


私たち夫婦共々、お慕いしながら

いつか、たびのそら屋でも個展を開催させていただけたらいいな、と

はるか遠くの頂を眺めるような気持ちで
願っていました




2019.7.22 
新潟絵屋さん「井田英夫 展」にて

私の服もシマシマで
図らずもおそろいになってうれしかった日




折々に下さったお便りやメールで、
次回(の帰省時)こそ訪ねますと、気にしてくださる井田さんに

どうぞご無理なく、また絵屋さんで会えたらそれで、
とお伝えしていたのでしたが

昨年9月の「小松弦太展」に、お友達と一緒に訪ねてくださったこと、
本当にうれしかったです


帰省した折は、庭や家の片づけをしています、とおっしゃっていたその意味を、
先走りして深く考えないようにしていましたが、

ひとつひとつの行動が、ちからを振り絞ってしていたことに違いなく、

たびのそら屋を訪ねることも、果たしたいことのひとつに思ってくださっていたこと、
長い移動でお疲れだったでしょうに、展覧会をじっくりと楽しんでくださったこと、
会場がいつになく狭く感じて、たのしかった時間を、

何度も大切に思い返します



2019.9.7

井田さんのお友達さま
井田さんをお連れしてくださって、同じ時間を過ごしてくださって
本当にありがとうございました