『ぼくらの 民主主義なんだぜ』
高橋源一郎 著(朝日新書・2015年5月30日第一刷発行)
2012年末~2017年初頭、暮らしの場が変わって家事専業で過ごさせてもらった数年間は、
学生時代以上に読むこと・知ることが楽しくて、学ぶことに貪欲になっていた時期でした
2011年に東日本大震災と福島第一原発事故があって、
2012年末に民主党政権から第二次安倍内閣・自公連立政権になって、
2013年夏の参院選でも与党が圧勝、
その際にメディアがこぞって「ねじれ解消」を謳ったあたりから、
私にはますます政治がわからなくなって、
世界は不穏で、混濁しているように感じられ、
理解するための手がかりを求めて、ファンタジーではなく、
取材や研究に基づくフィクションを読まずにはいられなかった時期でした
(それは今も続いています
本書は、そんな2011年4月から2015年3月まで、
朝日新聞の月1回の連載「論壇時評」に加筆されたもの
私には難しく感じられる部分もありますが、
著者は「伝えたい」という熱い意思をもって、最大限の易しい言葉で語りかけてくれます
政治は暮らしに直結していること、政治は特別なことではなく、
暮らしを考えたら政治を考えないわけにはいかないことを再認識します
時事的なことは全て過ぎ去り、リアルタイムで下さなくてはならなかった判断は
すぐに検証の対象となり、正しかったこと、間違っていたこと、あると思うのですが
この時代になにがあったかを記録しておくこと、
作家の場合は自分の言葉で自分の解釈を世に公表しておくことが、
のちの世において重要であるという立ち位置は
公文書を改ざんしたり、破棄したり、
責任の所在を明らかにし、検証する上でも不可欠な議事録すらも作らない、
現政権のそれとは真逆のものだということは、わかります
今の世を理解するためだけでなく、
過去を検証するためだけでもなく、
未来を照らす灯のひとつとして持っている一冊
対話がある場所には希望があると、
感じられる著書です
今、小説やファンタジーはほとんど読みません
残念ながらその心境にならないのです
我ながら、ゆとりがない、と感じます
この度の「ブックカバーチャレンジ」で、
過去に親しんだ児童書や小説などを読み返すことが、とてもいい時間になっています