津端修一さん・英子さんの著書をもう1冊
『キラリと、おしゃれ』
~キッチンガーデンのある暮らし~
津端英子 ・ 津端修一 著
(2007年7月初版・ミネルヴァ書房)
この本は、聞き書きではなく
主にこれまでひでこさんが綴ってきたものが再掲されていて
先に紹介した『なつかしい未来のライフスタイル』におさめられている
ひでこさんの「クラインガルテンの12か月」も
「キッチンガーデンの12か月」として再読することができます
第一章ではしゅういちさんにまつわる「男の身勝手50年」の
愚痴めいた記述も多々披露されているのですが
(実際、大変ご苦労されたことと思います
それらを経て自分も変わったし、新たな考え方ができるようになった、
恵まれた家庭の虚弱体質な子どもだったのが、すっかり逞しくなった…と
お孫さんにむけて「結婚とか夫婦とか、人生ってそういうものよ」と
美化することなくありのままを、「おばあちゃま」なりのユーモアで
お伝えになった文章なのかなと感じます
「プロローグ」と、
しゅういちさんによる「ミツバチ物語」(とっても素敵!)は書下ろしとのこと
おふたりそれぞれの「あとがき」も印象的です
ひでこさんは、次の世代に託す思いを、
しゅういちさんは、いろいろなことがあった人生について、
「二人の履歴書は一言で『キラリと、おしゃれ』」と、表現しておられます
裏表紙より
でもそれはきっと、これまで十分に成すべきことを成し
伝えるべきことを伝えてきたからこその
潔さなのではないかと思います
第二次世界大戦時、しゅういちさんが海軍士官だった時のこと
特権階級的な立場に鎮座することなく
台湾から連れてこられた少年兵たちとともに宿舎暮らしをしたこと…
この話は著書『ふたりからひとり』の中で
「ハンコの思い出」として書かれていて、
映画「人生フルーツ」では、そのハンコを返しに、
既に亡くなられたその方を台湾に訪ねたシーンがありました
それは、しゅういちさんの旅立ちのシーンと併せて
私には忘れがたく
しゅういちさんが伝えてくださった大切なことのひとつとして、
私も大切に、心に刻んだエピソードです
そして戦後、国土復興のために建築設計の道を選んだこと
高度経済成長の中ではニュータウンの造成により自然が破壊されていく中で
暮らしの中で環境保全のためにできることを見出し
未来を生きるひとたちに手渡せるものを
大切に積み重ねてきたこと
これまでの著書や日々の中で、思い入れの深いことは語り
姿で示せることは行動で表し…
伝えるべきことは伝え尽くされたのち
葛藤も悲しみも、何かしらとのたたかいも、あったでしょうに
それらすべてを「キラリと、おしゃれ」
に凝縮なさった。。。
連れ添った夫婦そろって、そんなふうに思える晩年
素敵です
キラリもおしゃれも一日にして成らず